多くの女性が薄毛で悩んでいる現代社会。女性が薄毛になる原因として多いものは、加齢などのホルモンバランスの崩れや頭皮トラブルによる抜け毛や薄毛がほとんどです。
しかし、薄毛の中にはただの薄毛だと放置してはならないものもあります。それが『円形脱毛症』です。
『10円ハゲ』とも言われる円形脱毛症といえば、男性に多い、ストレスでできるといったイメージが強いのではないでしょうか。
あなたの知りたい事は?
円形脱毛症は誰にでも起こり得る皮膚病
円形脱毛症は年齢や性別に関係なく、誰にでもいつでも発症する可能性がある皮膚病=病気です。初期の小さいものは自然に治ることもあります。
しかし、円形脱毛症は進行速度が速いのも特徴。放置していたせいで、複数に増えてしまったり、大きくなったりすることも。進行すると頭皮だけではなく全身の毛が抜けてしまうこともあります。
女性の場合、薄毛で病院にいくのは恥ずかしいとためらって、自分で解決しようとしてしまいがち。自己流の誤ったケアをして症状が進行してしまうこともあります。
そうならないためにも、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
円形脱毛症と他の脱毛症の見分け方は?
円形脱毛症は他の脱毛症とは異なり、何の前触れもなく気づかないうちに短期間に円形や楕円形にごっそりと髪が抜け落ちるのが特徴です。
女性の髪は男性に比べて長いことが多く、髪に隠れて発見が遅くなる傾向があります。そのため、発見した時にはかなり進行してしまっていたというケースも珍しくありません。
円形脱毛症は毛根が弱って髪の毛が抜け落ちていきます。そのため、発症した部分を触るとツルツルしています。
脱毛が進行している部分の近くの毛を引っ張ると痛みもなく簡単に抜けてしまいます。こうした症状がある場合、円形脱毛症だと判断していいでしょう。
女性の薄毛に多い『びまん性脱毛症』
女性に薄毛の原因で1番多いと言われるのが『びまん性脱毛症』です。「びまん」という名前のとおり全体的に薄くなるのが特徴です。
びまん性脱毛症は、別名『FAGA(女性男性型脱毛症)』とも呼ばれています。女性ホルモンが減少して男性ホルモンが優位となることで発症します。
びまん性脱毛症は全体的に薄くなる薄毛
びまん性脱毛症の場合、時間をかけて徐々に毛量が減ってきたり、髪が細くなってボリュームがなくなったりして、分け目や頭頂部、生え際など地肌が透けてきます。
円形脱毛症は部分的にごっそりと抜け落ち、部分的に一切髪の毛がなくなってしまう症状が特徴です。びまん性脱毛症とは全く異なります。
『FAGA』は更年期の女性に多い
女性が更年期を迎えると、それまでより女性ホルモンの分泌量が少なくなります。結果、男性ホルモン優位になってしまい、FAGAになってしまうというケースがよく見られます。
薄毛の他に、ホットフラッシュやイライラなど、更年期障害の傾向があれば、女性ホルモンバランスを整えるように意識した方がいいでしょう。
円形脱毛症は5つのタイプに分けられる
円形脱毛症は進行具合や状態によって、5つのタイプに分けられています。ご自身の薄毛の症状と照らし合わせて、チェックしてみてください。
単発型:豆粒〜500円玉サイズの小さな円形脱毛は1つ
最も多いのがこの『単発型』タイプです。豆粒から500円玉くらいの比較的小さい円形脱毛が1つ出来ます。
単発型の円形脱毛症は60%が自然治癒で治ると言われています。治療をすれば、自然治癒で治らなかった場合でも約80%が1年以内に治癒するそうです。
多発型:脱毛箇所が2つ以上or大きな脱毛箇所がある
『多発型』とは脱毛箇所が2つ以上発生しているタイプです。複数箇所に脱毛が発生することにより、結合して大きな面積になることもあります。
単発型を放置して多発型になってしまうことがほとんどです。多発型の円形脱毛症を発生した頃から、全身のあちこち脱毛が起こるようになります。
多発型まで進行してしまうと、一度治癒しても再発することも多くなります。完治まで半年から 2年くらいかかる場合が多いです。
蛇行型:脱毛箇所が蛇のように繋がっている
髪の生え際に沿って脱毛し、蛇のように脱毛しているタイプの円形脱毛症を『蛇行型』と言います。小児に多い円形脱毛症ですが、成人でも発症しないわけではありません。
単発型・多発型と比較して深刻な状態です。自然治癒は見込めませんので、必ず皮膚科を受診してください。
病院で治療を受けたとしても、完治に数年かかると言われています。放置するとさらに悪化し『全頭型』になってしまう可能性もあります。
全頭型:髪の毛が全て抜け落ちる
多発型・蛇行型がさらに進行し、全ての髪の毛が抜け落ちてしまった状態を『全頭型』と言います。
蛇行型同様、自然治癒は見込めません。皮膚科を受診して指示を受けてください。
皮膚科で治療したとしても非常に治りにくい状態で、完治までに長い時間がかかってしまいます。
汎発(ばんぱつ)型:髪の毛ではなく全身で脱毛が起こっている
全頭型よりもさらに深刻で、最も重度な状態が『汎発型』と言います。髪の毛だけでなく、眉毛、ひげ、脇毛など全身の毛が抜けてしまっている状態です。
全頭型でも治癒は難しいもので、汎発型となるとさらに難しくなります。根気よく通院と治療を続けなければいけません。
ストレスや遺伝が原因と言われる円形脱毛症!
脱毛はストレスが原因と言われています。しかしその実、ストレスは脱毛の原因ではなくきっかけなのです。
解明されていませんが、最も有力な説は「免疫機能の異常である」という説です。肉体的、精神的ストレスは自己免疫疾患を発症させる一因と考えられています。
円形脱毛症はアトピーや遺伝などが原因である免疫機能の異常でも発症します。ストレスで免疫機能が低下することによって発症すると考えてもおかしくありません。
円形脱毛症の原因とされる自己免疫疾患とは何?
免疫には体内に侵入してきたウイルスや細菌を攻撃して取り除き、体を守る役割があります。自己免疫疾患とは、免疫が自分の体の一部を異物であると誤認して、攻撃してしまう病気です。
円形脱毛症の場合は、免疫細胞のTリンパ球が頭皮の下にある毛根を異物だと誤認し攻撃します。その攻撃の時に毛根の周りで炎症が起き、炎症により毛根が傷ついて髪の毛が抜けます。
この攻撃が長期間続くと細胞が受けるダメージは大きくなり、髪の毛が抜けるだけではなく、生えてこなくなります。この免疫細胞の力は非常に強く、その為健康な髪でも短時間に脱毛が進んでしまうのです。
円形脱毛症は遺伝する
遺伝も円形脱毛症に関係があると言われています。子供に遺伝する確率は20~30%と言われ、一般の薄毛の遺伝と比べれば確率は小さくなっています。
その他にアトピー素因も関わっていると言われています。アトピー素因とは、アトピー性皮膚炎や気管支ぜんそくなどのアトピー性疾患を持っていたり、アレルギーになりやすい体質のことです。
円形脱毛症の患者本人で40%以上、患者家族の50%がアトピー素因を持っていると言われています。薄毛そのものの遺伝ではなく、アトピー素因の遺伝で円形脱毛症を発症することもあるのです。
円形脱毛症の治療とは? クリニックに行くべき理由とは?
皮膚科で受けられる円形脱毛症の治療法は、メジャーなもので2つあります。
1つ目が免疫機能を抑えるステロイドを脱毛部に注射で注入するステロイド局所注射。2つ目が人工的にかぶれを起こして発毛を促す局所免疫療法。
その他、脱毛部をドライアイスなどで冷却し毛髪の再生を促す冷却治療、紫外線でリンパ球を抑制する紫外線療法や、赤外線をあてて鎮痛、消炎効果を促す赤外線療法などさまざまなものがあります。
円形脱毛症の治療には最低でも半年かかる
円形脱毛症を完治させるには、通院したとしても時間を要します。通常で半年から1年近くかかると言われていますが、症状が進行してしまっていれば1年かかってしまうことも。
自然治癒を期待して放置すれば放置するほど、完治は難しくなります。円形脱毛症かもしれないと思った段階で、皮膚科を受診するようにしましょう。
円形脱毛症は再発の可能性があります
治療をすれば、円形脱毛症の約半数が1年以内に改善されます。しかし、再発する確率は30%を超え、繰り返しやすい病気とも言われています。
改善して間もなく再発する場合もあれば、数年経ってから再発する場合もあります。今のところ、再発を予防するための有効な手段はありません。
しかし、どうせ再発するからと放置してしまうと、症状が進行してしまいます。症状を進行させないためにもすぐに治療することが大切です。
再発してしまうと気が滅入ってしまうかもしれませんが、適切な対処があれば短時間での改善も難しくありません。
円形脱毛症は皮膚病。自然治癒を待たずに皮膚科へ
薄毛は女性にとってデリケートな問題で、一人で悩んでしまう方も多いでしょう。円形脱毛症は立派な『皮膚病』なのです。
薄毛によって不安や悩みを抱えてストレスを感じ、悪化してしまうこともあります。進行させないためにも、回復させるためにも、放置せず早い段階での治療が重要です。
脱毛している部分の毛包は活動を休止しているだけなので、髪の毛は必ずまた生えてきます。根気よく円形脱毛症と向き合って治療していきましょう。